濃密な時間【ベトナム寺】
2023年 04月26日 14:39 (水)
ある日曜日のお昼前・・・
たしか11時頃のことでした。
私たち夫婦は、山あいの小さな町にあるベトナム寺を訪ねていました。
日曜礼拝のようなことなんでしょう。
建物からは、読経が聞こえてきました。
物見遊山丸出しの私たちが建物の外観の写真を撮っていたその時、
通りがかった水色の長い装束の女性が、
あまりうまくない日本語で、
「なぜ上がって来ない?入って入って!」と・・・
私はマスクを車に置いていたので、
「マスクをしてから行きます。」となぜかその時点ですっかり
その建物内部へお邪魔するつもりになっていました。
不思議なくらい彼女の誘いをすんなり受け入れている自分がいました。
彼女より遅れること2分・・・
閉ざされたドアの向こうには先ほどの彼女がいるらしい・・・
尼さんらしき方の読経が聞こえる・・・
思いきってドアを開けて中に入りました。
すると私たち夫婦の前にはこんな光景が飛び込みました。
(不謹慎ですが、夫J氏がある瞬間に盗撮?してました。)
静かにドアは閉じられ、
狭い室内には、お揃いの装束の人たちが20人くらいいました。
尼僧のお経を聞いているようでした。
一瞬「こんな所に入り込んじゃってどうしよう?」と思いましたが、
後列の女性たち(先ほどの方も含む)が、
立派な宗教的な模様が施されたお座布団を出してくれました。
こうなるともう、あちらサイドに主導権あり。
私たち夫婦は、そこに集う人と同じように、
あぐらをかき、また立ったり座ったりお辞儀をしたり・・・
なんともぎこちない私たちでしたが、
こういう時に使うのもありの言葉でしょう。
「郷に入っては郷に従え!」
まねでもいい、やるしかない!
尼僧の読経が響く中、
先ほどの女性が私の耳元で、
「これは(経典みたいなもの)、読めないでしょ?」とか、
「どこから来たの?」とか
「昼ごはん、ごはん」
「12時頃終わるから、食べていって」
この日、久しぶりに行く予定にしていたラーメン屋さんのことが頭をよぎる・・・、
それに12時まであと30分・・・
「時間がないので・・・」と丁重にお断りしました。
すると、女性は、私の手をとって、
「じゃ、5月28日におまつりがあるから、来て!
たくさん人が来て、にぎやかだから!28日だからね!28ねッ!」
↑すごい念押し!笑
初めて会った何者か分からない私たちに、
とても親密な雰囲気で接してくれました。
ぜんぜん嫌な感じはなく、
むしろ明るくて、懐の広ささえ感じました。
私の頭の中ではウェルカムとホスピタリティという言葉が、
グルグル回っていました。
どうしてここまで人に優しくなれるのか?
そうこうするうちに、
読経は同じ言葉を繰り返しているように聞こえてきました。
しかもだんだん小さな声、
消え入るような声でさらに読経は続いていきました。
瞑想の時間だった気がします。
このままじゃ、睡魔に襲われる!
私は、瞑想する方々の背中を眺めながら、
この人たちの親御さんやおじい様やおばあ様は、
ご苦労されたはず・・・
また現在ここに集う人も
異国で悩みながら生きているのかもしれない・・・
日本に住むベトナム人の方々の心の拠り所なんだ、ここは!
みんなが集うこの本堂は、カラフルできらびやかでした。
日本のお寺とはまるで違った雰囲気でしたが、
室内に掛けられた掛け軸というかタペストリーには、
南無阿弥陀仏と書かれていて、違和感は感じません。
ラーメン屋さんのことがなければ、
あと30分、この厳かな中に身を置き、
普段着のベトナムの方々がどんなものを食べているのか、
知るのも有意義だったかなとちょこっと思った
メグおばちゃんでした。
なんとも60過ぎて、こんな濃密な15分を経験するとは・・・
<ベトナム寺所在地>
神奈川県・愛川町半原
愛川町は、人口約40000人でそのうち外国人が約3000人
ペルー・ブラジル・パキスタン・タイ・ベトナム・カンボジア・ラオスなどの
外国人が多く住むエスニックタウン
